指先からwas唇からlove【再公開】
神社内を歩いているうちにいつの間にか雨は上がり、
「海也、何お前、緒先と相合い傘してんだよっ?俺、傘持ってたのに」
「野郎と相合い傘なんてするか」
海也は友達と先に行ってしまった。
カシャ……
槇ちゃんは前で一生懸命デジカメで写真を撮ってた。
修学旅行は特にスマホの持参は厳禁で、先生のいる手前、それでは写真は撮れない。
「何撮ってるの?」
「ん? 楼門」
「バチ当たりそうじゃない?」
「そんなことないよー、ほら、雇われカメラマンもバシャバシャ撮ってるし」
確かに、修学旅行専属の写真館のお兄さんも写真を撮りまくっていた。
「……あ」
カシャ。
槇ちゃんがズームを合わせた先には、やっぱり一ノ瀬くんがいた。
可愛い。
私も海也の写真欲しいな。
思えば一緒に撮ったことはおろか、彼の写真一枚も持ってない。