指先からwas唇からlove【再公開】
時折降る雨のせいで、道が渋滞してしまい、バスが宿に着いたのは予定より遅れての17時だった。


「部屋に着いたら、ジャージに着替えて、先に夕飯、それから風呂だぞー」


少しスケジュールも変更されて、バイキングの食事になった。

私の泊まるところは、207の四人部屋。


ブブ♪



【俺、310】



海也の部屋と同じ階ではなかった。



「一ノ瀬、お前、寿司ばっかり取りすぎ!」

「今日は寿司狙い、で、あとは焼き肉な」

食堂は緑のジャージで溢れかえっていた。
一般の宿泊者より少し早めの時間なのは、少しでも重なりを減らすため。


「遥香ちゃん!こっちこっち!」


槇ちゃんは、わかりやすく一ノ瀬くんたちのグループ近くの席を陣とる。


何気に前方を見たら、一ノ瀬くんと目が合ってしまった。




……なんか、久しぶりに顔を見たような……。

思わず愛想笑いを浮かべると、

一ノ瀬くんが近寄ってきてしまった。



「緒先さん、部屋、何階なの?」



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