指先からwas唇からlove【再公開】

教室……戻りにくいな。


私が話しやすいタイプではないと皆分かってきてるせいか、前ほど話しかけられないけど。
やっぱり、視線は感じるし。


迷子にならずに教室前にたどり着いた私に、


「ほんとにさー、いつまで前の学校の制服着てるんだよ」

「目立ちたいからじゃない?」

「男ってセーラー服好きやもんね」

背後から敵視剥き出しの言葉を浴びせたのは、恐らく隣のクラスの女子。

……見ない。

そっちは見ない。



教室に入っても下を向いて席に着く。




「緒先さん、記録抜くかもね」

「え、なんの?」


そんな、″放っておいて″オーラ出しまくりの私に、ザ.八方美人は、相変わらずきさくに話し掛けてきて、


「二年生になってから、海也が告白された人数の記録」



返事に困るような事を言うんだ。

しょうがないから、知りたくもないのに、



「……海也くんてモテるの?」



ついこんなことを聞いてしまった。

愚問だよ。


ヤンキーは好き嫌い分かれるところだけど、

彼がいるだけで顔を赤らめる下級生を見てればモテるのは一目瞭然。





「おー、すげーよ。下級生ばっか三人に告白されてる。緒先さん、タイだよ」




きっと、彼女だっているんだろうなって思ってた。













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