指先からwas唇からlove【再公開】

「え? 部屋?」

なんでそんなこと聞くの?
思わず槇ちゃんの顔を見ると、笑顔がひきつっていた。


「そう、俺ら三階なんだよ」

「……二階だよ、女子は半分がそうみたいだよ」


やだなぁ。
もし、私が槇ちゃんの立場なら凄く複雑。


お願い、一ノ瀬くん。



「二階って大浴場のある階だよね? 風呂入ったら遊びに行っていい? 皆で″大富豪″しない?」


私じゃなくて、槇ちゃんを見てあげて。


「……大富豪?トランプかなにか? 私、やり方わかんないよ」


「あ、そうなの?他に誰が部屋一緒?」



一ノ瀬くんは、私と海也のこと気付いてるはずなのに。



「槇ちゃんと、梨子ちゃんと、大西さんだよ」

「槇……あ、川崎さんもなんだ? 遊びに行っていい?」


「あ、うん、ど、どーぞ、お待ちしております」


「……」


まだ、私と二人の時間を欲しがってるのかもしれないと思ってしまうあたり、私は意識過剰なのかもしれない。




< 160 / 287 >

この作品をシェア

pagetop