指先からwas唇からlove【再公開】
「……もう、部屋戻るの?」
海也も牛乳を買っていた。
「うーん、もう少ししたら……」
海也が今一人なら一緒にいたいけど。
私も牛乳を買って手に取った。
「……髪」
「ん?」
不意に後ろから髪を触られる。
「まだ濡れてる。乾かせよ、ちゃんと」
海也が触れた毛先から、滴がポタポタと落ちてきた。
「あ、うん。浴場のドライヤーのところ混んでて、あんまり使えなかったから」
「あーね、……でもそのまま廊下とかウロウロすんなよ」
「大丈夫だよ、これくらいじゃ風邪ひかないって」
「そーじゃなくて」
急に牛乳の蓋を開けていた私の腕を取るから、
「っと」
こぼしそうになって慌てて蓋をした。
「な、なに」
「他の奴が見たらどーすんだよ」
「はい?」
え、髪、濡れてたら校則違反?
「俺みたいに、ムラってきたらどーすんの?」
「はぁぁ?!」
こないよ、誰も!
「変なこと言わないでよ」
「変なことじゃないよ」