指先からwas唇からlove【再公開】
わかんない。
髪が濡れたくらいで?
じゃプールの授業とかどうなんの?
「俺のドライヤー、貸してやろうか?」
「え、持ってきたの?」
荷物になるのに。
「あんまり、共用のは使いたくないから」
「そうなの?それでよく大浴場入れたね」
牛乳のイッキ飲みを二人でやって、
「ちょ、三階戻って取ってくる、待っててよ」
海也がエレベーターに乗って行ってしまった。
「……いいのに」
海也は、へんなとこ潔癖で心配性だ。
エレベーターの前の椅子で座って待っていると、
チン!
エレベーター扉が開き、海也だと思って立ち上がる。
「あれ、緒先さん? わざわざお出迎え?」
……じゃなかった。
一ノ瀬くんたちが降りてきてしまっていた。