指先からwas唇からlove【再公開】
うそ、もう戻ってきた?!
「海也を連れてこねーなら部屋に入れないってぬかしやがったあのブス!」
「北川なー、体だけは美人なのに残念な女だよなー」
入り口から男子の声が聞こえてくる。
海也は、私を抱き起こして、乱れた髪をサッと直して、急いでそちらへ向かう。
「追い返されたの? 俺、顔だけ出そうか? 」
らしくない言葉で、男子をまた外に出そうとしていた。
「もういいよ、あんなブスたちの部屋。それより一ノ瀬たち、緒先さんの部屋に遊びに行ったらしーぞ、俺そっちがいいわ」
自分の名前が出てきて、ドキリとする。
「じゃ、行ってこいよ、俺、部屋の番しといてやるから」
「なんだ? 海也が珍しく協力的ー!
なんか隠してね?」
「は?」
「そうだよ、一人で部屋に残るの好む奴なんているか? お前ここでなんか変なことしてただろ?」
「はぁ?!」
動揺する海也の声が聞こえる。
秘密の恋じゃなければ、堂々としていられるのに。
「あ、布団、一組だけ敷いてある!」
「いいから女子部屋行ってこいって!」