指先からwas唇からlove【再公開】
「あ……れ……なんや誰もおらんわ」
「マジでお前寝てたの?」
「え」
見られる前に、押し入れによじ登った私。
襖の後ろでドキドキしながら息を殺す。
「あー……うん、そう。疲れたから。お前らの布団も敷いといてやるよ」
それに気付いたのか、海也は押し入れに寄ってきて、ある布団を全部、乱雑におろし始めた。
「そんな投げるなよ、シーツも全部あるんだよな?」
「これ、自分達でしなきゃいけないの?」
「修学旅行生だからだろ」
そして、襖の後ろにいる私に目をやり、口パクで、
″ゴメン″と言っていた。
部屋から出なくなった皆が、布団の上でお菓子を食べたり、雑談を始めてしまい、出るに出れなくなってしまう。
海也は、押し入れの直ぐ下に座り、みんなの話には入ってなかった。
多分、それどころじゃなかったんだと思う。
PM 9:28
私、このまま、朝まで出れないの?