指先からwas唇からlove【再公開】

案の定、私が部屋にいないことで、先生たちが探し回っているらしい。


「おい、緒先見てないか?」


巡回の先生が懐中電灯を照らして、暗くなった部屋を見回していた。



「え、緒先さん消えたの?」

「他の客に連れ込まれたんじゃね?」

「トイレに籠ってるんじゃないの?」




これは、まずい。

どうしよ?


海也も、押し入れの中をたまにチラッと見ながらどうしようか悩んでいる様子。



「一ノ瀬とかが、必死に探してるらしーよ」


「あいつ、わかりやすいよなー」


一ノ瀬くんをはじめ、皆にも迷惑かけてる。

もう、怒られるの覚悟で出ようかな?

そう思っていたら、



「俺らも探すフリだけする? 」「あーね。まだ眠くないし」


なんと、海也以外、みんな廊下へと探しに出ていってしまった。



これはチャンス!






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