指先からwas唇からlove【再公開】
海也の囁く声と、軽く肩を揺さぶられたのとでハッと目を覚ます。


暗闇だったけど、海也の呼吸と髪の匂いで、
海也の顔が布団の中にあるのがわかった。


「……みんな、寝た」

海也がそっと布団をめくると、確かに全員からイビキが聞こえてきた。

スゴいな。
枕変わって寝れない子とか一人くらいいても良さそうなのに。


今日の幸運に感謝しながら、布団からゆっくりと這い出した。

足元に気を付けながら、入り口へ。

海也が、物音立てないようにドアを開けた。


パタン……。




ほぉっ……。



そして、布団で温められていた体が、すぐに冷えていくのが分かった。



「……遥香……寝てたな」

「うん、フツーに」

「スゲー神経。俺……寝れなかった」

「ゴメン、見張っててくれたのよね」

「それだけじゃないけど……」

「え?」

「いや、いい、ほら早く上に上がれ」


エレベーターのボタンを押して、開いたそこへ私を促し入れた。



「……上まで行こうか?」

「上に先生がいるかもしれないよ」

「……そっか」

「うん、じゃね、おやすみ」


扉が閉まりかけたのに、


「え」


海也が体を入れてきて、扉はまた全開に。



「おやすみ」


そう言って、全身で私を抱き締めて、すぐに離してエレベーターから出ていった。


完全に閉まる直前まで、海也は私を見てた。





「……海也……」



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