指先からwas唇からlove【再公開】
明日、また会えるのに。
なんだか暫く会えないみたいな顔してた。

上がっていくエレベーターの中で、私まで切なくなった。



こんな風に二人が一緒にいられる夜は、この先いくつあるだろう?


多分、そんなにない。

だって、私たちはまだ中学生で、進路が違えば会うことが減って、きっと、他に出会いがあって……。


そして、恋を、するの?



今、こんなにお互いに好きなのに?


そんなこと想像もできない。






「……まだ、先だよ」


自分にそう言い聞かせて、真っ暗な廊下を歩いていく。

センサーが反応して灯りが点くとほっとした。




そうだ。

私たちはまだまだ始まったばかり。


願掛け石にもお願いしたし、大丈夫。






「緒先さん?! どこにいたの?」



先生達に凄く怒られたけど、海也と一緒にいたことは、けして言わなかった。

そのため説教はかなり長引いてしまい……。




次の日のバスの中では、爆睡してしまっていた。

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