指先からwas唇からlove【再公開】

「晴れてよかったー、遊園地で雨とかなら最悪だもん」

「そうだね」

槇ちゃんはとても元気だった。

昨夜は迷惑かけたものの、一ノ瀬くんと二人で私を探した際にライン交換をしたらしく、二人の距離が少し縮まったから。


「結局、暴露大会はできなかったなぁ」


本人が目の前にいたんだもんね。

公開告白になっちゃう。


「そのうち、ちゃんと伝えられたらいいね」


槇ちゃんから好きな人は教えて貰ってないけど、それが誰なのか私が気づいてることに、槇ちゃんは気がついている。


だから、恥ずかしそうに頷いてた。





「集合は4時、このゲート前で点呼するからな!」

先生からの注意事項を聞いてバスから降りる。

フリーパスのリストバンドを受けとると早速の自由時間だ。

前の私ならこの時間は苦痛以外、なんでもなかった。



「遥香ちゃん、サラマンダーいこう!」

「うん」

「ジェットバスにも乗りたいねぇ!」

「いこいこー近いところから!」


好きな人の姿は殆ど目撃できなかったけど、
それでも楽しかった。



たくさん遊んで食べて、気がつけばもう夕方。


混雑したお土産屋さんで、やっと海也と遭遇した。








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