指先からwas唇からlove【再公開】
5月。
学校は、中間テストや中体連に向けて慌ただしく日程が組まれていて、
放課後、海也は体育の先生に呼び出されていた。
亜美ちゃんが病院らしく、久しぶりに二人でか学校で話そうと約束していた日。
予想もしてないことが起こる。
槇ちゃんたちと、視聴覚室に貼られていた、修学旅行のスナップ写真の展示を見回っている時だった。
私は海也の一人の写真があれば、こっそり購入するつもりでいたんだけど。
「あ、ね、これ、海也くんじゃない?」
槇ちゃんが早速見つける。
「……遥香ちゃん!相合傘してるとこ撮られてるよー」
心臓が飛び上がった。
「え、うそ」
それだけならまだ良かった。
「もー、二人、傘の中でなにしてんの?」
皆がはやし立てるのも無理はない。
「やっぱり、二人つきあってたんだー」
傘の中で、一瞬だけ海也が私の肩を抱いたあの時、
それが写真館のカメラマンに撮られてしまっていた。
「……やだ……」
これ、外せないの?
海也。
どうしよう?