指先からwas唇からlove【再公開】
このままだと、高校進学さえ危うい海也。
中体連なり、何かに真面目に取り組んだ結果が残れば、内申書はうんと良くなるはず。
だから、チャレンジしてほしい。
だけど、
私と一緒にいる時間はますます減ってしまう。
ちょっと複雑だった。
「遥香がそういうなら、やってみよー」
そんな私の心なんて気付いてないんだろうな。
海也は本当に機嫌がいい。
野球を断念してから、初めて目標が出来たんだもんね。
そんな海也に写真の事、話しづらい。
でも、なんとかしなきゃ。
「海也……」
「ん?」
「亜美ちゃんのことなんだけど……」
「アイツの話ならもういいよ」
「どうして?」
「俺はできるだけのことはやってる。もうこれ以上気を使いたくない」
そう言うと、海也は私の肩を抱いて、唇を合わせてきた。
「修学旅行の続き、したい」
そんなの今ここじゃ無理なのに、平気で口に出して……私を階段の手すりに押し付ける。
海也の両腕に挟まれて動けない私は、痛いほど強く当てられる海也の唇を受け入れるしかなかった。
ここ、
まわりは田んぼだけど、
脇道通る人に見られちゃうよ?
そう思っても、甘くて熱いこの一時を手放したくなくて、私も必死に唇で応えてた。
″もう、いいや″
人の事なんて、どうでもよくなるほど、
海也とのキスに溺れていた。