指先からwas唇からlove【再公開】
「やっぱり、生野かな?」
教室に戻った私に、先に見たらしい海也がこわばった顔で話し掛けてきた。
……そうかもしれない、だけど、わからない。
「……先生に言って、外して貰った」
見つけた時から、そうしてればよかった。
「オーイ、席につけー」
授業が始まって、自分の席に戻っていく海也。
さっきの顔、とても青白かった。
これだけで済めばいい。
海也を好きな女の子の気持ち、あれくらいで気が済めばまだ、良かった。
願掛けした願いも、一方的だったし、
人の事なんかどうでもいいなんて、
そんなこと思う私に、神様は味方しない。