指先からwas唇からlove【再公開】
愛想よく笑う必要はない。


「定番だけど、真ん中の列の一番後ろの席な、あそこに座って」


担任の先生が指し示した席、そこに向かう間も、誰とも目を合わせなかった。



少し下を向けば、顔が隠れる長い前髪。

前の学校では良く先生に怒られたっけ。



「一ノ瀬、いいなぁ、転校生の隣」


私の隣の席は、″一ノ瀬″ っていう人か。


皆の注目をまだ浴びていることは分かっているので、隣の席の人さえも見ないで椅子を引いた。





「教科書とか、揃ってるの?」



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