指先からwas唇からlove【再公開】
「おい、意味ないってなに??」
海也の質問に答えることなく階段をかけ下りた。
「遥香っ」
下の名前で呼ばれたけど振り向けなかった。
……嫉妬してしまった顔は、絶対に不細工だから。
そのあと、海也が私を追いかけてくるこはなかった。
既に授業が始まった教室に、静かに入る私。
先生が教室を見回して、
「あれ。末信、朝いたよなぁ? またアイツの悪い癖出てきたか?」
海也がいないことに気が付いて舌打ちしてた。
海也……。授業サボっちゃった。
モヤモヤした気持ちで窓から外を眺め、誰も居ない屋上に視線を移す。
寒い時に海也に膝枕してあげたっけ……。
あのとき、なんであんなに簡単に、素直に気持ちが通じ合えたんだろ?
なのに、
なんで最近はうまくいかないんだろ?
二年の時に簡単に開けられた屋上の鍵は、今は用心されて二重になっていた。
一度閉められたものは、なかなか開かない……。
ーー簡単に覗けない。