指先からwas唇からlove【再公開】
一番、見たいのは海也の心……。
知りたいのは、海也の気持ち……。
積極的な北川さんのこと、女の子として気になるんじゃないの?
そして、
私のこと飽きてない?
北川さんよりも魅力ないんじゃない?
階段を降りなから、着信の音がしないスマホがポケットの中で邪魔なほど揺れていた。
それでも、
ストラップを返して、何も無くなったスマホが
随分と軽くなったような気がした。
昼休み。
「槇ちゃん……」
いつもお弁当を食べていた槇ちゃんに話しかけても、そっぽを向かれた。
「……」
やっぱり怒ってるか。
昨日の軽率な行動を後悔しても遅い。
教室に居づらくなった私は、お弁当も食べずに
図書室へと向かった。
途中、二年の教室の前を通る。
あ、
亜美ちゃん。
一瞬だけ横目で見た二年生の教室。
亜美ちゃんが、ポツン……と一人でお弁当食べてた。
ズキンと胸が痛む。
″ハブ決定″
トイレで他の女子にそう言われていたっけ。
確かに胸は痛んだけど、このときの私は自分の事でいっぱいいっぱいだったし、彼女の自業自得でもあると思っていて……。
気になりながらも、シカトしてた。
頭の中では、海也と北川さんと、友達のことしか考えてなかった。