指先からwas唇からlove【再公開】
ひたすら読書をした昼休み、教室へ戻っていると一ノ瀬くんと渡辺くんに遭遇した。

「あ、緒先さーん♪」

珍しいツーショットだ。

「俺達と同じ塾に来るかも知れないって本当?」

「え」


渡辺くんも同じなんだ。


「渡辺だけじゃなくて、結構同級生いるよ。この辺塾って3つくらいしかないからさ」


戸惑う私に一ノ瀬くんは、


「1日でも早く取り組んだ人が受験は勝ち残るよ。検定に向けての講座も回を重ねただけ得するから」


早い入塾を促した。



「そうだね……」



恋と友情だけが全てじゃなかった。

ちゃんと、考えなきゃいけないときが来てるんだ。



「じゃ、申し込んだら直ぐに行くようにするね」



それに、槇ちゃんがいい気持ちにならないと分かってはいても、今、私の味方って、一ノ瀬くんしか居ない気がするから。


だから、塾に行くことに。

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