指先からwas唇からlove【再公開】
″北川さんとしたくてたまらないんじゃないの?″
思えば、ヤキモチから酷いこと言った。
″これ、もう、持ってる意味ないから″
海也に酷いことしたと思う。
……謝りたい。
梅雨入りして、雨が降っても練習のある陸上部とサッカー部。
放課後。
約束もしてないのに海也のこと待つことにした。
【帰り、待ってていい?】
ラインは送ったけど、多分見るのは練習あとだ。
どのくらいするんだろ?
6時?
塾、ギリギリになっちゃうかな?
それでも、今ちゃんと言わないと本当に海也とはダメになっちゃうような気がして……。
傘を差してグラウンドを見つめていた。
ゴロゴロ……と、
雷が鳴り始める。
「オーイ、片付けて切り上げろー!」
危険な天候に変わり、やっと練習の終わりだ。
海也がびしょ濡れで更衣室に入ってくのが見えた。
「……か」「海也ーー!」
私の声をかき消したのは、やっぱり北川さんだった。