指先からwas唇からlove【再公開】
三時間の受講が終わり、夜になっても雨は止んでなくて。
傘を持たない人たちが玄関で迎えを待っていた。
2クラスなので凄い混み具合。
一ノ瀬くんも外を見てため息ついていた。
「緒先さん、歩いて帰るの?」
「どうしようかな? 近いけど家に電話してみようかな」
雨に打たれたせいか、ぞくぞくして歩きたくなかった。
「それがいいよ、そんな濡れた格好で歩いてたら危ないよ」
「え?」
「いや、夜は物騒だから」
「……あー……」
″濡れた髪見て、他の奴が俺みたいにムラムラきたらどーすんの?″
また、海也のこと思い出してしまった。
髪くらいでそうなんだもん。
北川さんみたいにしてたら、海也もオカシくなるよね。
案の定、
「北川、傘入れてやるから一緒に帰ろーぜ!」
他の学校の男子達が彼女の透けた姿に釘付けだった。
「嫌だって。傘ないなら緒先さんに入れてもらえばー?」
それをあっさり私に振ろうとする。
勘弁してよ。
親に電話かけようとコールしていた私は、それをシカトして北川さん達に背を向けた。
「あー、ま、緒先さんでもいっか、入れて!」
それなのに、
「わっ!緒先さんのブラ青なの?」
北川さんにフラれた男子が、電話する私の背中をからかうように押してきた。