指先からwas唇からlove【再公開】
「あっ……!」
本当に軽く押されたのに、突然の行為とセクハラまがいの言葉にビックリして、段差で足を滑らせてしまう。
目の前にいた一ノ瀬くんが振り向いた途端に、
再びドン!と誰かが私を押したのが分かった。
「危なっ……」
思い切り、一ノ瀬くんと正面衝突。
その際に、
「……ぶ」
顔と顔が、
最悪な事に、唇と唇が接触ーーー
私は、一ノ瀬くんに抱き止められる寸前に、
彼にキスをしてしまっていた。
背後から皆のからかう声と、北川さんの甲高い笑い声が聞こえていた。