指先からwas唇からlove【再公開】
だけど、こんな日に限って母さんは居やがらない。
……というか、最近、俺が陸上始めてから家に居ないことが多くなった。
この時は、勤務時間が変わったんだろうな、くらいにしか思ってなかった。
親のことなんて気にしてる時じゃなかったし。
なので、
「あら、お母さんいらっしゃらないなら、おいとまするわね」
生野の母さんは、お喋り相手がいないと分かると、亜美と桃だけを残して戻って行ってしまった。
「わーい! 久しぶりぶりの海也くんの部屋だー!」
「おいっ!勝手に二階まで上がるなよっ!」
生野は元気良く俺の部屋を開ける。
「相変わらず男の子なのに部屋片付いてるー」
「散らかってるの好きじゃないんだよ」
「あ、オセロも麻雀もまだあるっ!」
「なかなか捨てられなくて」
そーだ、小学校の頃はよくここで、こいつともゲームなんかして遊んでいたんだよな。
フツーに兄妹みたいに仲が良かったんだ。
「学校、海也くんの女の子のうわさ絶えないよー」