指先からwas唇からlove【再公開】
俺の腕の中でわんわん泣く生野は、昔と変わらず小さな子供みたいだ。
「……ずっと、お前ばっかり守るわけにはいかないんだよ」
言い聞かせるように声を和らげた。
止まらない嗚咽で苦しそうにしながら、生野は泣き腫らした目を俺に向ける。
「じゃ、うちを海也くんの彼女にして」
「え?」
「守ってくれなくていい、ずっとそばにいられる彼女にしてよ」
子供だと思っていた生野が、ふっと大人のような顔に変わった。
「それが、無理なら……一回でいいから、うちにキスして」
「……な」
想定外の願いに心臓がバクバクいい始める。
「おでことか、頬じゃなくて、ちゃんと唇にキスしてよ」
そう言って、瞼を静かに閉じる生野の姿は、
露出しまくりの北川よりも、ずっと、大人っぽく、
艶やかかで……そして、愛らしく見えた。