指先からwas唇からlove【再公開】
「本当に海也くんにはなんて御礼を言っていいか……」
亜美ちゃんのお母さんが、海也のお父さんに何度も頭を下げて御礼を言っていた。
「……いや、大したことなかったので。そちらのお嬢さんも大きなケガがなくて良かった」
てっきりお母さんが来るのかと思っていたら、
忙しいと聞いていたお父さんがいる。
あんまり海也に似てなくて、厳しそうな印象。
「遥香……もう行くよ、あんたも病人なんだから」
「あ……うん」
お母さんに言われて、自分の風邪を思い出す。
その日は、結局 海也には会えなかった。