指先からwas唇からlove【再公開】
……誰とも……。
それは、私も含めてなんだよね?
理由は聞かなくてもわかってるんだけど、
未練がましいとわかっているんだけど、
「……どうして?」
聞かずにはいられなくて、海也を引き止めるような行動をとる。
行こうとする海也のシャツの裾を掴んだ。
「……生野を追い詰めたのは俺だから。気持ちには答えられないけど、せめてもう傷つけたくない」
海也のシャツから大好きな匂いがする。
「色々悩ませちゃったけど、今度こそ距離をおこう」
″距離を″……。
決定的な終わりの言葉に、シャツを掴んでいた手を離す……。
「緒先が転校してきてから、毎日学校楽しかった、ありがとな」
私を見つめるその瞳が、……少しだけ濡れていたから、
本当に、本気の決意なんだとわかって、
「……う……ん」
イヤだとは言えなかった。
ペタペタと、ゆっくり遠退いてく海也の足音がハッキリと聞こえなくなるまで、
泣くのをずっと我慢してた。