指先からwas唇からlove【再公開】
約束will
中体連陸上の部。
夏休み直前の大会当日は快晴だった。
『男子3000㍍の時間は……確か全体の後半にあったような』
失恋したとはいえ、好きな気持ちが直ぐに醒めるわけがなく……。
私は海也の走りだけを楽しみに応援にやって来たようなもの。
「槇ちゃん、トイレに行ってくるね」
「うん、あ、ついでに私のポカリも買ってきて」
「うん」
おまけにうちの学校の陣となるスタンドは日陰がなく、ずっと座っているのが辛くて良く席を立っては水分を補給に出てた。
夏は、佐賀よりもやっぱり暑い。
陰になる場所を探して、持ってきたクリアファイルで扇ぎながら来ていたラインを確認。
【陸上競技とサッカーの競技日、重なってしまってるから俺の分も海也の応援よろしくな、
あいつ、絶対に無理してるから】
一ノ瀬くん。
自分の試合もあるのに、海也のこと心配してる
。
そう。
彼がいうように、海也のケガはまだ治ってはいないから。
どうか、無理だけはしないでほしい。
「ねー、あんた何年生?」