指先からwas唇からlove【再公開】
一ノ瀬くんに返信しようとした私に、ジャージなのか私服なのか分からない格好で話しかけてきたのは、他校の男子。
「二年? 大人っぽいから三年か?」
どこかで見たことある。
あ……、そうだ。
前、郵便局の近くでたむろってた子達。
いかにも悪そうで、海也のこと知ってたみたいだった。
極力、関わりたくない。
「え? なに、シカト?」
返事をすることもなく、スタンドの方へ戻ろうとした私の肩を一人が掴む。
「……ちょ……なに?」
振り払おうとしたのに、今度は髪を引っ張られた。
「いたっ」
「そのジャージ、海也とおんなじ学校だよな?あいつ、マジでこれに出るの?」
それさえも答えたくない。
変わらず黙っていると、
「ブッ!」
と、勢い良く顔に何か吐きかけられた。
やだ!なに、汚いっ!
「アハハーざまぁみー」
「ちっと顔が可愛いからって無視すっからだよ!」
恐る恐る、前髪を触る。
ペタッとした、ぬるっとした感触のものが髪に張りついていた。
ガムだった。
しかも、粘着力のあるチューインガム。