指先からwas唇からlove【再公開】

汚いだけじゃなくて、こんなことされたのが悔しくて、弱くなった涙腺がまた緩みそうになった。


「それ、切らないとダメかもよー」

「あ、泣くの? 泣け泣け!」


下を向いて、必死にそれを取りながら顔を隠していると、かえって面白がって、


「な、名前とライン教えてよ」

「こっち向けよほら」

ガムを取るのに必死な私の手を掴んで邪魔し始めた。


ーー誰か、大人のひと、きて。


そう願わずにはいられないほど、いろんな学校の応援者が周りにいるにも関わらず、誰一人としてこの光景に足を止める人はいない。



「教えてくれたら、ガム綺麗に取ってやるから!」



どさくさに紛れて、顔だけじゃなくて体にも触れてきたからカッ!ときて、

思わず、


「いい加減にしてっ!」



大きな声で怒ってしまった。









「……ハァァ?!」



< 247 / 287 >

この作品をシェア

pagetop