指先からwas唇からlove【再公開】
汚いだけじゃなくて、こんなことされたのが悔しくて、弱くなった涙腺がまた緩みそうになった。
「それ、切らないとダメかもよー」
「あ、泣くの? 泣け泣け!」
下を向いて、必死にそれを取りながら顔を隠していると、かえって面白がって、
「な、名前とライン教えてよ」
「こっち向けよほら」
ガムを取るのに必死な私の手を掴んで邪魔し始めた。
ーー誰か、大人のひと、きて。
そう願わずにはいられないほど、いろんな学校の応援者が周りにいるにも関わらず、誰一人としてこの光景に足を止める人はいない。
「教えてくれたら、ガム綺麗に取ってやるから!」
どさくさに紛れて、顔だけじゃなくて体にも触れてきたからカッ!ときて、
思わず、
「いい加減にしてっ!」
大きな声で怒ってしまった。
「……ハァァ?!」