指先からwas唇からlove【再公開】
「お前、良くそんなもん持ってるなぁ」
「赤いライトは結構安く出回ってるんだけどな!緑はなかなか……ライヴの時とか盛り上がるからいいんだよ」
オモチャ感覚でそれを点けたり消したりしながら、他校生の男子たちは、
「別に誰を狙ってたってわけじゃないけど、海也がこれで優勝とかしたらつまんねーじゃん?」
笑ってスタンドの方へ行こうとした。
「……」
怖くて震えてるのか、怒りで震えてるのか、
足はカタカタいってた。
大変だ。
誰かに言わなきゃ。
実行委員会?
審査員?
どこにいるの? そんな人たち。
そうだ、先生、引率の先生!
気持ちだけ走り出した私の腕を取ったのは、
同じ塾の伊東。
「あ、こいつチクリそーだから、どっか閉じ込めておこーぜ」
海也を好きだったはずの北川さんも一緒になって、私をすぐそばの男子トイレの個室に閉じ込めた。