指先からwas唇からlove【再公開】
「……え?」
海也がいなくなる?
今、確かにそう言ったよね?
「……どういうこと?」
夏休み前から学校を休んでいた海也……。
肩のケガがヒドイからだと思っていた。
亜美ちゃんは、立ち上がって顔をゴシゴシと拭くと、呼吸を整えながら答えてくれた。
小さく薄い可愛らしい唇から出てきたのは、
「……海也くん、二学期から大分に引っ越すんです」
「……え?」
「お父さんと大分で暮らすみたいで……」
全然、想像もしてなかった海也の転校という現実だった。
「……お父さんと?……じゃ、お母さんは?」
この三年生の後半で転校するなんて、よっぽどのこと……。
海也ことを不憫に思えてしかたがない。
「うちのお母さんに聞いたら、海也のお父さんとお母さん、離婚するらしいので……」
亜美ちゃんの話を聞きながら、海也に会いたくてたまらなくなった。