指先からwas唇からlove【再公開】
中体連で、他校の男子にガムをつけられた私。
都合が悪いとき、顔を隠せていた長い前髪を、
それを機にバッサリと切った。
「……本当? 変じゃないかなーと思ってた」
「いや、まじで明るくなった。ずっと顔隠れてたから、そっちがいいと思う」
「……あ、ありがと」
なんか恥ずかしい。
「そーか、緒先先輩、なんか雰囲気変わったと思ったら髪……切ってたんですね?」
亜美ちゃんがリビングの新聞紙をまとめながら、遅れて気が付いて、
「前の方がミステリアスで良かったのにー」
なんて言うから、海也が頭を肘で軽くごついてた。
「お前……緒先に憧れてますとか言っておきながら、全然見てねーじゃん!」
「見てたよー、でもそれどころじゃなかったんだよ! 海也くんのせいで私も緒先先輩も泣きまくったんだから!」
「え」
わ、そういうこと言わないで。
お皿を拭きながら、また海也の顔を見れなくなった。
「こっちの白い箱がお皿と椀で、茶色い段ボールがグラス類ね」