指先からwas唇からlove【再公開】
一ノ瀬くんの声に反応して何となく入り口を見ると、



「海也が朝から学校に来るなんて珍しいんじゃない?」



同じく眠そうな海也くんと、一瞬、目が合った。


「親父が単身赴任から帰ってきたから、サボるとうるせぇの」


そして、直ぐに逸らされて、彼は一ノ瀬くんの方ばかりを見て話す。


「海也のとーちゃん、どこに行ってたんだっけ? 」

「広島。もぉ帰ってこなくていいのに」

「そんな言うなよ、久しぶりに一緒に暮らすんだろ?」

「一ノ瀬んとこの親父と違ってマジウザイからな。一生暮らさなくていいくらい。あ、今日の一時間目なに?」




二人は、お互いのこと良く知ってるっぽい。

いつからの友達なんだろ?



「今日は一時間目、国語→英語に変更になっとる」

「英語ぉ?」

「スーザンの都合らしい」

「ちっ」


舌打ちした海也くんは、まともに席に着くこともなく、教室を出ていってしまう。


またサボる気なんだ。







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