指先からwas唇からlove【再公開】
海也が親の離婚で引っ越しすることは、夏休み中に広まっていたようで、
9月1日、
本来、向こうの学校にいるはずだった海也が皆に挨拶するために登校してきていた。
「末信、前出て挨拶するか?」
HR中に、先生に教壇から呼ばれてたけど、
「そこまではいいっす」
それは嫌だったみたいで断ってた。
その日の休み時間は、朝からずっとうちのクラスは海也へのお客さんで一杯だった。
下級生の男子、女子。
他のクラスの同級生。
中でも、一ノ瀬くんは、
「お前がいないとやる気おこらんわ」
「あ、てッー、さわんなよ」
嫌がる海也をハグして、
笑いながら、微かに目に涙を浮かべていた。
「海也くん」