指先からwas唇からlove【再公開】
亜美ちゃんの知らせに、海也は急いで窓から外を確認して、
「マジだ」
そして、私を見る。
ドキンとした。
……いいの?……
私が恐る恐る海也に近づくと、
「早くしないと、もうチューもできませんよ!」
痺れを切らしたように、亜美ちゃんが教室に入ってきて私の背中を押した。
「生野……」
「私なら、大丈夫」
そんな亜美ちゃんを心配そうに見る海也。
私の背中を押しながら、亜美ちゃんもまた、目を潤ませていたから。
「海也くんに貰った命だから強いんです、
嫉妬くらいじゃ死にません」
だけど、いつもみたいに笑って、
「おじさんには、海也くん居残りだって伝えとくねー」
待っていた二年生の女子と一緒に戻って行ってしまった。
その背中を見たら、亜美ちゃんなら本当に大丈夫なような気がした。
「屋上、いこうか」
「え?」
海也は、私の耳元でそう言うとポケットから針金を出して、
「今日なら開けられそうな気がするんだ」
自信満々の顔をして見せた。