指先からwas唇からlove【再公開】

「海也……これ、」

抱き締められながら、ずっと持っていたターコイズのストラップをポケットから出して見せた。


「あ……れ。それ……遥香が持ってたのか?
事故の時に無くなったとばかり思ってた」


「う……ん」


厄除けのお守り。


せっかく買ってくれたのに一回は突き返して、……後悔して、今度は肌身離さず持っていようと思ってたけど、



「これ、やっぱり海也が持ってて……」




いつか、また、海也に会いたいから。



「今度、会ったときに私にまたちょうだい」



それまで、私だと思ってほしい。




こんなベタなお別れ、とても迷ったけど、

私達が繋がれるものはこれしかないような気がするから。




そんな私の思いを、






「そんなの無理」



海也は受け取らなかった。









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