指先からwas唇からlove【再公開】
「おい、海也、バスそろそろ戻らないと置いていかれるぞ!」
「あ、は、い」
引率者らしき人に声をかけられて、慌てて私の手を離す海也。
だけど、直ぐに指を掴みなおし、
「……遥香、今、フリー?」
願うような眼差しを向けて、その色っぽい艶やかな唇を私の手の甲に当てた。
「……うん、そう、誰のものでもないよ」
ドキドキしながら答えると、海也は昔のように私の指先をそっと挟むように噛んできた。
「……なら、俺のものになって」
これはキスの合図ーー。
三年前と変わらない……。
抱き合ったまま、階段裏の死角になるところへ移動すると、たんをきったように、私達の唇は吸い寄せられるように重なりあって離れては重なり……
変わらない、懐かしい匂いも感じ合う。
密着すればするほど愛しくて、たくましくなった海也の身体を私もぎゅっと抱き締めた。
褪せることのなかった三年分の思いーー
″好き、″
″大好き、″
何度も心の中で叫んでた。
「……このつづきは、半年先まで待ってて」
ーー海也は優しい。
だから、果たせない約束はしない。