指先からwas唇からlove【再公開】
あれから半年。

海也は、長崎にも支店のある某電子会社の陸上部に所属した。

本来、大卒ばかりで埋め尽くされるそこにも、5000㍍を12分台で記録した海也は高卒でも同じ扱いで入れたみたいだった。


とりあえずは、鹿児島の実業団駅伝を目指して毎日練習に励んでいる。



一方の私は……、

好きな英語が活かせるように、同じ県内の大学のグローバル社会学部に入学。



二年次には中期の海外留学が必須で、
もう少したてば、海也との遠距離恋愛が決定的になる。


「遠距離恋愛なんて寂しいもので海也を縛り付けられない」

中学生のときの海也の言葉をそのまま借りると、


「前の俺とは違うから」



海也は、すっかり大人びた表情で私を留学
へと送り出そうとしてくれる。



「今の俺なら、会いたくなったらオランダでもドイツでも行こうと思えば行ける」


当たり前だけど、年を重ねるだけ海也の心と身体は大きくなっていく。



「会社、休むの?」

「うん、そのために有給は一日も使わない」




だから、私達は今もずっと一緒にいられる。





私は嬉しさを隠すように、
その広い胸に顔を埋めて、思い出を封じ込めるつもりで、たくさんの気持ちと熱いキスを落とした。













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初めて目が合った時、ドキッとした。



よく知らないのに、同じ匂いのする子だと思った。




自分の彼氏でもないのに、あの指を見て、触れて欲しいと思った。




好きだと気付いたら、その唇にも触れてみたいと思った。



恋愛してみたら、一人じゃ生きられないって、実感してしまった







ーー私たちは、幼かったけど、ちゃんと恋愛してた。



大人になった今も、

明日も、明後日も、

ちょっと先の未来も……。





二人で、唇から愛を始めよう。









【指先からwas唇からlove】



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