指先からwas唇からlove【再公開】
マラソンは男女同じ場所でやるらしくて、普段は体育の授業に出ない海也がいるだけで、
女子が何となく浮き足たってた。


「あいつ走れるの?」
「さぁ。タバコ吸って体力なさげ」

「やっぱりマラソンは運動部が首位独占でしょ?」

「一ノ瀬くん、マラソン大会、毎年トップだよね。サッカー部だけに足速いんだよ」

「私、前から一ノ瀬くんってカッコいいと思ってたんだー♪」



……ほら。
八方美人なうえに顔も爽やかだし、やっぱり彼もモテるのよ。


その爽やかな一ノ瀬くんと、悪そうなイケメンの海也のツーショットは、転校生のジャージのことなんてぶっ飛ばすくらい、女子の視線を釘付けにしていた。


「モテ女子の緒先さんはどっちが好み?」


こんな私にも聞いてくるくらいだから、
あの二人は二年生女子の人気を二分してるのかもしれない。




返事はしなかったけど、そんなの、

歴然としてた。





















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