指先からwas唇からlove【再公開】

「緒先……ゴメン、もーいいぞ」


カーテンを閉めて数十秒も経たないうちに、海也くんの着替え終了のお知らせが。

恐る恐る、カーテン間から覗く。


ホッ。

制服に着替えていた。



「だ、大丈夫なの? 貧血か何か?」


転校してきて間もない、友達でもない私が保健室まで様子を見に来るなんて
きっと、気持ち悪がってるよね?

そう思うと、亜美ちゃんのラインを鵜呑みにした数十分前の自分がバカに思えて仕方がない。




「……貧血ではないよ、マジで体力不足なだけ。普段、運動とかしないから」


なのに、フツーに答えてくれる海也。


「そ、そう。なら良かった。亜美ちゃん、凄い心配してたから」



それでも、一応、来た言い訳みたいなのをしてみたり……。




「女って心配性だよなー」



照れたように笑う海也くんを、カワイイと思ったのが分からないように、視線を窓の方に移してみたりした。




……海也くんのことを意識してるって、悟られたくなかったから。




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