指先からwas唇からlove【再公開】
「末信くんて、足、速かったんだね」

「″海也″でいいよ。誰も俺のこと名字で呼ぶ奴おらんし。俺は足が速いというより、持久力があるんだと思う」

「陸上部とか入んないの?」


「……んー、そういうの、かったるいかなー?」

「言うと思った」

「転校生の緒先でも俺のことわかっちゃうんだ?」


「だって、隠してないから」


「あーね」


一ノ瀬くん以外と、こんなに話したの初めてだ。

この人、案外話しやすいのかも。


「生野のライン、超ウザイだろ?」

「ううん、新鮮」

「はじめはなー。段々、あいつのアルファベットで何でも略すの、あれがないと物足りなくなるから」


「あー……分かるような気がする」


海也くんと話してると、時間があっという間に過ぎていく。



養護の先生から言い渡された3分は、もうとっくに過ぎていた。

それでも直ぐに出ていくなんて出来なくて……。




「俺、帰ろっかな」




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