指先からwas唇からlove【再公開】
良かった。
体調、回復したみたい。
ふたり乗りを先生に怒られる海也くんを見届けながら、教室へと急ぐ。
今日はちょっと遅刻気味。
案の定、すでにHRは始まっていた。
「おはよ、今日は寝坊?」
隣の一ノ瀬くんが、私の跳ねた髪を見て言った。
気さくなのはいいけど、デリカシーに欠ける男子。
「……そう、寝坊」
今日はいつもより強めに″話しかけないで″オーラを放ってみる。
寝癖を直す暇もないほど、朝起きるのが遅くなった。
亜美ちゃんとのラインが原因じゃない。
何故か、夜も海也くんのことばかり頭に浮かんできて、眠れなかった。
……これって……。