指先からwas唇からlove【再公開】

良かった。
体調、回復したみたい。

ふたり乗りを先生に怒られる海也くんを見届けながら、教室へと急ぐ。


今日はちょっと遅刻気味。

案の定、すでにHRは始まっていた。



「おはよ、今日は寝坊?」

隣の一ノ瀬くんが、私の跳ねた髪を見て言った。

気さくなのはいいけど、デリカシーに欠ける男子。


「……そう、寝坊」


今日はいつもより強めに″話しかけないで″オーラを放ってみる。


寝癖を直す暇もないほど、朝起きるのが遅くなった。

亜美ちゃんとのラインが原因じゃない。


何故か、夜も海也くんのことばかり頭に浮かんできて、眠れなかった。



……これって……。



< 44 / 287 >

この作品をシェア

pagetop