指先からwas唇からlove【再公開】
「海也ー、三年生が呼びよるー」
昼休み前。
教室に、三年生の女子が彼を訪ねてきた。
「わ、深雪先輩だー」「こわ」
「女番長」
女子も男子もヒソヒソとその人を見て噂するので、何気に私もそちらを見る。
廊下に、とても日本人に見えない人がいる。
ピンク色の肌に、目鼻立ちハッキリして、髪も茶髪。
化粧はしてないけど、ケバい印象。
あの人、本当に中3?
向かった彼を睨み付けている。
「あんたさー、いつまで待たせるわけ?」
「……待たせた、というか」
面倒くさそーに対応する海也くんの様子からすると、
「海也に一週間前にコクったらしーよ。あの先輩」
海也くんは、その深雪先輩には、全く気がないようだ。
どこかよそで話せばいいのに、深雪先輩は短気なのか、
「彼女いないなら別に付き合うだけ付き合ったていいじゃん!」
人前で恥ずかしげもなく肉食系を露にしていた。
「ヤンキーは短気」
隣で一ノ瀬くんがくだらない事を言うから、
周りの皆もクスクス笑い出して、
「ちょっ、お前ら、何笑ってんだよ??!」
深雪先輩がこちらを見て怒り始めてしまった。