指先からwas唇からlove【再公開】
女とはいえ、やはりヤンキーの凄みは怖い。
一ノ瀬くんたちもピタリと笑うのを止めてしまった。
そして。
何故か、深雪先輩の視線は、長い前髪で顔を隠し、人の視野に入らないようにしてる私に注がれている。
……な、なんで?
こっち、見るな~……。
窓際の方を見て、二人の姿を見ないようにした。
「あんたさ、誰とも付き合わないみたいなこと言ってるらしーけど、好きな女でもいるの?」
深雪先輩の海也への攻めはまだ続いている様子。
女子は、シン……として二人の会話を聞いている感じ。
やっぱり男子よりも、この手の話は好きなんだ。
「……そう、好きな子なら前からいる。結構マジなんで。
なので、深雪先輩とは付き合えないです」
年上の女子をフる海也の声は、
私の心をストン……と、地面に叩きつけるように落としていく。
″好きな子は、前からいる″