指先からwas唇からlove【再公開】
中学生に見えないくらい大人びた海也。
「そういうの早く言いなよ」
「……ゴメン」
彼女とか、いかにも居そうな容姿の彼。
その彼が前から好きな子って……
深雪先輩が去ったあと、女子がざわつく中、
男子は、また笑ってた。
「あの先輩、自分がヤンキーだから海也にちょうどいいと思ってたんだろぉなー、撃沈!」
「いくら美人でもヤンキーが彼女とか嫌じゃん」
「ブリブリも嫌けどな」
「緒先さんくらいが丁度いいよ」
「なんでそこで緒先が出てくるんだよ?」
隣で、一ノ瀬くんたちが此方を見ているの知ってたけど、それどころじゃなくて、
ただ、
ーー痛くて。
海也くんの好きな人が、このクラスや、他のクラス、もしくは他の学年にいるんだと思うと、
何故か苦しくなって、
……私、やっぱり、そうなのかも、と、こんなことで自覚してしまった。
ーー私、海也くんのこと、好きなんだ。