指先からwas唇からlove【再公開】
「また英語に変更かよっ」
海也が毎日変わる時間割りを見てゲンナリしていた。
「海也は英語、あんまり授業出ないよな?」
一ノ瀬くんがそう言うように、海也が英語の授業にでてるところは、あまり見たことない。
「国語とか社会ならまだいいんだけど、英語は一年の時にしくじったら、もーあとはワケわかんないじゃん」
あんまり女子とも男子とも、そんなに話さない海也も、一ノ瀬くんとは結構話す。
結果、隣の私は彼の声を近くで聞くことができる。
……失恋はしても、やっぱり得した気分。
「緒先さんは、英語、好きそうだよな?」
「え?」
海也が不意にそんなこと言うから、一ノ瀬くんが不思議そうな顔をしていた。
「何で? 緒先さん英語好きなの?」
「……え、あぁ、まー」
ただ、授業を受けているだけの私。
でも、本当は一番好きな教科だったりする。
「すげ、なんでそんなこと、海也分かっちゃうわけ?」
ほんとだよ。
こんな話したことないのに。
「一回だけ、さぼり損ねたスーザンの授業で、たまたま緒先さんが英会話、当てられて。
あんときの発音が外人みたいだったからさ」
……寝ていると思ってたのに、ちゃんと聞いていたんだ。
なんか、恥ずかしい。