指先からwas唇からlove【再公開】
「購買部のパン売り切れだったー」
「私のオニギリ、一個あげよーか?」
「昼からまた体育じゃん! 食後で走ったら横っ腹痛くなるの私だけ?」
「うちもだよー。つかみんなじゃね?」
賑やかな昼休み。
私が一番キライな時間。
転校して数日は、先生が私に気を使って、お弁当は各机で食べるように指示していたけど。
今はもう、女子は元々の仲良しグループで食べている。
隣の一ノ瀬くんが友達と食べたりはしないので、ボッチ飯感はなかったけど、
ーー今日はちょっと違った。
「一ノ瀬、はやっ! もう飯食ったの?」
私に話しかけるわけでもなく、かきこむようにお弁当を食べて何処かへ行ってしまった。
私の方を一回も見ることなかったし……。
ーー″なに、お前、緒先の彼氏なの?″
もしかしたら、
私の隣が気まずいのかもしれない。