指先からwas唇からlove【再公開】
「緒先先ぱぁい……」
こんなときだけど、泣き顔も可愛い亜美ちゃん。
海也は、この子を好きなのかもしれない。
そう思うとチクっときたけど、こんなところに置いて行ったら何をされるか分からない。
「こいつに話あるんだよ! 邪魔すんなよ!」
囲まれた彼女の手を引っ張った。
「調子に乗るなよ! 転校生!」
だけど、そんなに簡単には出させてはくれない。
「いっ…!?…た……」
深雪先輩のしっかりした腕が、私の首に回されてしまった。
「きゃあっ!!」
亜美ちゃんも、短い髪を一人に引っ張られている。
私と亜美ちゃんは、同じ数ずつ、頬っぺたにビンタを食らった。