指先からwas唇からlove【再公開】
途中、何度も深雪先輩に、
「本当は海也とお前付き合ってるんだろ?!」
と聞かれた亜美ちゃんは、ずっと首を横に振って否定してた。
「じゃ、海也の好きな女ってどこのどいつさ?!」
「知らないっ……」
聞いてどうにかなるものじゃないのに、
深雪先輩の方が泣きそうな顔で亜美ちゃんを叩いてた。
亜美ちゃんは、私なんかよりも、ずっと強く叩かれて、本当に痛そうだった。
いつも、海也と一緒に登下校する亜美ちゃんを、ずっと快く思ってなかったのかもしれない。
「……こんなことする女の子、海也は絶対好きにならないんだからぁ……」
「うるさい!こいつ、絶対頭悪いよ」
「私、生野って頭イカれてるって噂きいたことあるよー!」
小さい子供のように泣き出した亜美ちゃんを、
三年生の女子は笑って蹴り始める。
まるで、ボールを蹴るように亜美ちゃんを足で襲う。
「ちょっ、ほんとに止めてっ!」
思わず一人の足を掴んだ。
「あー、もう!緒先も ウザイっ!!」
前の学校の制服は、
あっという間に、シューズの跡で汚れてしまった。