指先からwas唇からlove【再公開】

「思ったんだけど、海也の好きな女って、やっぱり緒先じゃない?」


一人が深雪先輩にそう言うと、


「だよね? ″前から″っての、カモフラージュっぽかったからさ」


「海也って秘密主義だってきいたしね」


「……っ!」


大きく頷いて、今度は私の前髪を引っ張り出した。



「あんた、なんでこんなに前髪伸ばしてんの?」

「そう、転校してきた時から制服も髪型も気に入らなかったんだよね、こいつ」



人に見られるのが嫌なだけなのに、


何で無理矢理見ようとするの?






「切っちゃう?」




心も見た目も、自信がある人ばかりじゃないのに。




< 58 / 287 >

この作品をシェア

pagetop