指先からwas唇からlove【再公開】
「思ったんだけど、海也の好きな女って、やっぱり緒先じゃない?」
一人が深雪先輩にそう言うと、
「だよね? ″前から″っての、カモフラージュっぽかったからさ」
「海也って秘密主義だってきいたしね」
「……っ!」
大きく頷いて、今度は私の前髪を引っ張り出した。
「あんた、なんでこんなに前髪伸ばしてんの?」
「そう、転校してきた時から制服も髪型も気に入らなかったんだよね、こいつ」
人に見られるのが嫌なだけなのに、
何で無理矢理見ようとするの?
「切っちゃう?」
心も見た目も、自信がある人ばかりじゃないのに。